■再三,僕が人に話すのは,芸術は活写なりというふるいことばである。あらゆる知性的な奇工は淪(ほろ)びても、活写だけは,芸術の力としてのこりうるのだ。トルストイの倫理的な苦悩よりも,『アンナ・カレーニナ』のなかの溌剌とした競馬場の馬の活写はのこるのだし、やはり、馬だが、ベラスケスの「ブレダ城の降伏」の馬の,尻の毛並みにうけている光線の活写は、アバンギャルドをしのぐ、時間を超えて人の心を感動させるものを持っている。(123㌻)
『金子光晴詩集』金子光晴 思潮社 現代詩文庫 2007年6月3日
岡野岬石の作品とテキスト等の情報ボックスとしてブログ形式で随時発信します。
投稿日:
■再三,僕が人に話すのは,芸術は活写なりというふるいことばである。あらゆる知性的な奇工は淪(ほろ)びても、活写だけは,芸術の力としてのこりうるのだ。トルストイの倫理的な苦悩よりも,『アンナ・カレーニナ』のなかの溌剌とした競馬場の馬の活写はのこるのだし、やはり、馬だが、ベラスケスの「ブレダ城の降伏」の馬の,尻の毛並みにうけている光線の活写は、アバンギャルドをしのぐ、時間を超えて人の心を感動させるものを持っている。(123㌻)
『金子光晴詩集』金子光晴 思潮社 現代詩文庫 2007年6月3日
執筆者:okanokouseki
関連記事
『自我の哲学史』酒井潔著 講談社現代新書 ■あらかじめ見通しをいえば、われわれが通常、社会生活で是とする自我概念は、基本的には西洋哲学の自我概念の上に成り立っており、日本人は近代化においてそれを受容し …
『ペンローズの〈量子脳〉理論』ロジャー・ペンローズ著 竹内薫・茂木健一郎訳・解説 ちくま学芸文庫
『ペンローズの〈量子脳〉理論』ロジャー・ペンローズ著 竹内薫・茂木健一郎訳・解説 ちくま学芸文庫 ■ 量子場の理論の守備範囲→素粒子論などのミクロの世界 一般相対性理論の守備範囲→宇宙論などのマクロの …
『人生論』トルストイ著 米川和夫訳 角川文庫 ■普通、科学はあらゆる面から生命を研究している、といわれている。ところで、どんなものにでも、球に半径が無数にあるように、無数の面があるもので、それをあらゆ …
『カーヴァーズ・ダズン』レイモンド・カーヴァー(村上春樹編・訳)より
■おしまいの断片 たとえそれでも、君はやっぱり思うのかな、 この人生における望みは果たしたのかと? 果たしたとも。 それで、君はいったい何を望んだのだろう? それは、自らを愛されるものと呼ぶこと、自ら …