岡野岬石の資料蔵

岡野岬石の作品とテキスト等の情報ボックスとしてブログ形式で随時発信します。

『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

『海を見つめる画家たち』大久保守著 鳥影社

投稿日:

■―― 物の存在を認むる事に依って、自分も始めて存在する。

存在によりて存在する意識の心は、只自分の外には何物もないけれども、物の存在を認むる事は、自分なる事ではない、物なる只其事のみである。自分なる者があっては、眞の物は未だ認められない。物認められねば、自分の存在がない。自分を虚にして始めて物の存在を認め、認めて始めて眞の自分が存在して来る。

眞存在の心は、一元と脈動した意識である。刹那々々のみを、自分たり得る心である、強ひて説明すれば消滅する心だろう。(以下略)――坂本繁二郎

まるで禅問答のような文章をまだ二十九歳の若者が理路整然と述べているので、本当に恐れ入ってしまうが、ここにはそれ以後の坂本繁二郎の制作思想が集約されている。つまり、自己の意識を滅却して〝事物の存在〟をはっきりと認識することにより、己の存在も見えてくる、物の存在と己とを、一元化すること、それが自分がめざしている芸術の道である、と彼は説いているのだ。(175㌻)

『海を見つめる画家たち』 大久保守著 鳥影社 2007年7月22日

-『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

執筆者:

関連記事

『正法眼蔵の世界』 田中忠雄著作集⑴ 浪曼

『正法眼蔵の世界』 田中忠雄著作集⑴ 浪曼 ■世には、玄妙2つながら忘じきたり、慮知念覚ををなげうちきたるところに、いみじき霊力の発現を期するものがある。かような学風に対して、道元は「仏祖の挙拈(ねん …

no image

『黒澤明』文藝別冊追悼特集 河出書房新社

『黒澤明』文藝別冊追悼特集 河出書房新社 ■《黒澤監督がいる 黒澤組にて 大寶智子》 「芝居なんて、そんなに急に、上手くなるもんじゃないんだ。薄い紙を重ねていくと、分厚くなるだろう。1枚1枚は薄くても …

no image

夢の中の空間

夢の中の空間(1998年記) 夢は何故〈見る〉のだろうか。見るためには、見る自分と見える対象が必要だ。夢を感じるとか思惟するとかではなく、夢の中で私は起きているのと同じ様な時空の中を、自己意識を持ちな …

画中日記インデックス

画中日記 (2009年) 画中日記 (2010年) 画中日記 (2011年) 画中日記 (2012年) 画中日記 (2013年) 画中日記 (2014年) 画中日記 (2015年) 画中日記 (201 …

『正法眼蔵』仏性を味わう 内山興正著 大法輪閣

『正法眼蔵』仏性を味わう 内山興正著 大法輪閣 ■この涅槃については涅槃経の獅子吼菩薩品(ししくぼさつぼん)にいろいろ述べられていますが、大切なのは次の2点です。 「涅槃とは、即ち是れ煩悩諸結の火を滅 …