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『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

『フッサール・セレクション』 立松弘孝編 平凡社

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『フッサール・セレクション』 立松弘孝編 平凡社

■周知の通りデカルトは、これらすべての諸作用をコギトという言葉で総称している。つまり、私にとって存在する世界とは、そのようなコギトの中で意識されて存在し、コギトの中で私にとって妥当する世界に他ならない。世界はその意味のすべてを、すなわち普遍的な意味も特殊な意味も、さらにまたその存在の妥当性も、もっぱらそのようなコギタチオネスからのみ獲得するのである。(『省察』H. I, 60)(220頁)

〈私(岡野)の意見:自己の意識に関係なく世界は写りこみ、身体に自己の世界観の地を作る〉

■・・・、還元された自我が世界の一部分でないのと同様、他方の世界とそれに属するすべての客観も、私の自我の一部分ではなく・・・(『省察』H. I, 65)(221頁)

〈私(岡野)の意見:自分は世界の部分であるのと同様に、自分の身体の内部でも自我は写り込んだ世界の地の中の一部分である。〉

■・・・。アウグスティヌスはこう語っている。「外へ出て行こうとせず、汝自身のうちへ帰れ。真理は人の心に宿る」と。(『省察』H. I, 183)(222頁)

〈私(岡野)の意見:真理は人の身体に写る、というべきである〉

■われわれは客観を、いわばそれを排除する括弧に入れ、一つの符号をそれに付与するのである。・・・という私の意志を表わすための符号を付けるにである。・・・、私は依然としてすべてのものをみているのである。(『第一哲学』H. Ⅷ, 110f.)(225頁)

〈私(岡野)の意見:これも同じく、その前に既に身体に写っている〉

■超越論的現象学は超越論的自我論としてのみ可能であるように思われる。現象学者としての私は必然的に独我論者である。(『第一哲学』H. Ⅷ, 173f.)(227頁)

〈私(岡野)の意見:当然認められない。本質は時間を含まない記号になってしまう。つまり、本質は「真・善・美」のみであって個別のものには本質はない。〉

■われわれの現象学は、リアルな諸現象の本質学であってはならず、超越論的に還元された諸現象の本質学でなければならない。(『イデーン』H. Ⅲ, 6)(229頁)

〈私(岡野)の意見:超越論的に還元された本質学の対象は「真・善・美」のみである〉

■・・・、たとえば自我の能動的能作としての知覚が機能するためには、いわばその前提として、知覚の志向的対象となるべき何かが、あらかじめ受動的に与えられているのではないか、ということが問題になる。(235頁)

〈私(岡野)の意見:これこそが、写り写られの問題〉

■しかもこの志向的構成の概念には、客観主義的世界像に対するフッサールの根本的な批判が集約されているのである。(235頁)

〈私(岡野)の意見:意識と身体の違い〉

■すなわち客観主義が、人間とそれを取り巻く事物世界との間の根源的な志向的相関関係を捨象して、あたかも後者がわれわれとは無関係に独自に存在するかのように看做すのに対して〈私(岡野)の意見:これが正しい〉、志向性の現象学は自我と対象的世界の根源的関係を開示するばかりでなくさらに進んで、あらゆる対象的存在者にその存在の意味と妥当性を付与する認識の主体、行為の主体としての自覚をすべての自我に覚醒させるのである。(236頁)

〈私(岡野)の意見:自分の中には自我意識の及ばない、無意識の地平と他者が写り込んでいる〉

■現象学は哲学者の究極的な自己責任から生まれた自我論であるというべきであろう。(236頁)

〈私(岡野)の意見:自我は放下したほうがよい〉

■人間は確かに一面において、世界に内在するリアルな自然的存在者である。〈私(岡野)の意見:その通り〉しかしその反面「志向的統一体としての世界を、自己の意識生活の中で初めて構成する自我」(FTL. 211)は「認識の序列において世界の存在に先立つ自我」(FTL. 202)でなければならない。最後の節では、いわゆる哲学の第一命題としての〈われ在り〉の原理を中心に、自我の問題を考察してみたい。(236頁)

〈私(岡野)の意見:ここまできて読み続けるのを断念する。現象学は方法論としてはすばらしく役に立つが、その前提とするパラダイムが自我意識と志向性なので記号、本質、デジタルで今の私にはとうてい認められない〉

2009年4月29日

-『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

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