2012.11.12 【パラダイス・アンド・ランチ】(レストランロゴスキー)
私がまだ20代の頃、今はもうないが高島屋の横の喫茶店ゲルボアの2階にあった日本橋画廊(数々のこの画廊経由で有名になった画家を売りだした伝説の画廊。オーナー、児島徹郎)で最初の個展を開いた時、作品は完売だったので、両親が見にきたときの昼食に、画廊の近くのロシア料理店につれていった。見知らぬ銀座のレストランで、メニューから知らない料理を選び、3人前食べるのはまだまだ私には敷居が高いが、ボルシチとピロシキをたのべば値段もたいしたことはないだろうとの心づもりだ。
昔の人は、小食だし、おまけに昼食なのでそれで充分。ボルシチとピロシキ3人前では同じ年ごろのボーイ(懐かしい言葉だネ)にバカにされそうなので、私はカッコつけて、ロシア料理で唯一名前と名前の由来を知っている、ビーフストロガノフとビールで食事をした。
田舎から出できた両親はそのていどの料理でも東京のレストランで初めて食べる料理に、そして、年若い息子が気圧された様子もなく(こういう時の、内心のドキドキを表情に出さないために、男子はメンコやビー玉を賭けてポーカーをやるべきだ)振舞っているので、料理の味よりも連れられた息子の態度に安心満足して料理を堪能した。
(ロゴスキーは、以前は、上野や渋谷にもあったけれど、今はもうありません。次回は、今でもある、日本橋の『吉野寿司』のカウンターで父と食べるまでの、「江戸前寿司」の章に、つづきます。その章は、今回書き下ろしですので、不定期です。2020年10月28日、パソコンで検索すると、場所をかえて今も数店営業しています)