■この解答をニュートンはやはり匿名で発表したが、解答を見たベルヌイは、「あのライオンであることは足跡だけで分る」と言ったそうである。(34ページ)
■「ここにて、1843年10月16日、ウィリアム・ハミルトンは、天才の閃きにより、四元数の基本式を発見し、それをこの橋に刻んだ。i²=j²=k²=ijk=-1」(110㌻)
■ヒンドゥ-教の規範『マヌ法典』は、男子の生活期を四つに分けている。ヴェ-ダ学習を中心とした知的教養を積む学生(がくしょう)期、結婚して祖霊祭を執行し男子を設ける家長期、人里離れた所に隠居して瞑想にふける林棲期、そしてその森をも捨て巡礼をつづけ解脱をめざす遊行(ゆぎょう)期である。(132㌻)
■純粋数学というのは、種々の学問のうちでも、最も美意識を必要とするものと思う。実社会や自然界からかけ離れているため、研究の動機、方向、対象などを決めるガイドラインが、美的感覚以外にないからである。論理的思考も、証明を組み立てる段階で必要となるが、要所では美感や調和感が主役である。この感覚の乏しい人は、いくら頭がよくとも数学者には不向きである。(214㌻)
■若手研究者や学生は、ノブレス・オブリージュ(高貴な者に伴う義務)として、率先して続々と最前線へ向かって行ったのである。(249㌻)
『心は孤独な数学者』藤原正彦より2006年5月11日