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『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

『生命の光』 714号

投稿日:2020-12-08 更新日:

『生命の光』 714号

■キリストは、「不信仰な曲がった世の中は神のしるしを求めるが、ヨナのしるし以外は与えられない。信じやすい心の人には与えられるけれども、信じにくい、曲がってひねくれた心の人間には、神のしるしを悟りえない」と言われるのです。「しるし」とはセーメイオンというギリシア語です。目に見えない神様は、見えるしるしや奇跡をもってご自分の存在を示しなさる。神は目に見えないが、見えないから無いのではない。しるしとしてシンボルを通してでも、このように存在しているじゃないか、ということを示されているわけです。神が信ぜられる人には、何を見てもしるしです。空飛ぶ鳥を指してでも、野の百合を示してでも、イエス・キリストは神を説くことができました。

だが、多くの場合、しるしと言えば奇跡のことです。この29節は、「人々がイエスを試みようとして、天からのしるしを求めた」という同じ章の16節の言葉を受けております。だから、人々はイエスの説く福音を信じえず、「天からの素晴らしい奇跡が見たい、そうしたらあなたを信じよう」と言ったわけです。

それに対してキリストが言われるのは、小さなしるしにも驚かない者に、大きなしるしを見せたって、ただ奇跡を見たと思うだけで、信仰にはならない、ということです。不思議な救い、運命の変化、それがたとえ何かちょっとした良いことでも、信ずる心のある人には神のご愛がわかるものです。けれども、わからない人にどれだけ大きなしるしを見せたって信仰にはなりません。(『愛と最善の神を信ぜよ』手島郁郎)(3~4頁)

(2012年6月8日)

-『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

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