嶺北だより（2023年）
2023.09.19 【嶺北だよりプロローグ】
明日朝、始発のバスで四国の棚田を描きに行きます。１週間滞在し、四国の帰りに玉野に寄り、来月の始めに帰柏します。それまでルーティンのフェイスブックへの投稿は休止します。（フェイスブックへの投稿文）
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9月11日に室蘭から帰って１週間で、すぐに、次に四国の山中の棚田を描きに行こうとするには理由がある。
以前玉野の小島地(こじまじ、地名)の小さな棚田の風景を描いたとき、棚田の稲の黄色い色が美しく、キャンバスの上でも、画面の明度が上がるために、絵が明るくなるのを経験し、いつか、大きな棚田を描いてみたいと、情報をパソコンで検索していた。
いくつかの棚田のなかから、四国の嶺北地方にある、吉延(よしのぶ)の棚田をしぼりこみ、そこを、描きにいくことに決めていた。泊まる旅館は、以前から調べていたが、いざ棚田のある町の旅館に電話すると、老婦人の声で、旅館は休業中だという。その町には一軒しか旅館はないので、隣町の、２件の旅館のなかの一軒に9月20日から27日連泊を予約した。
旅館のこともあるが、室蘭に描きにいったからといって、四国行きを来年にのばせば、来年は自分も現地の事情もどうなるかわからない。この歳でのイーゼル画は毎回ラストチャンスなのだ。
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2023.09.20 【嶺北だより（１)】
朝、始発のバスでアトリエを出る。新幹線で岡山駅で高知行き特急南風に乗り換え、大歩危駅で各駅停車のワンマン列車で大杉駅で下車する。切符を買うことから、時間を調べることまで、今は、パソコンやスマホの検索で便利になったが、昔は、時刻表を買って、自力で予定を組んで旅行していたのだ。パソコンやスマホを使えない人は、今の時代は、生きにくいだろうなぁ。
大杉駅で、予約した旅館のある田井行きのマイクロバスを１時間ほど待ち、終点で下車。旅館はバス停のすぐそばだった。大杉駅でバスを待つ間に、奇妙な事件を目撃するが、それは、いつか書くことがあるかもしれない。いや、この歳だからもうないか。私は子供の頃から、いろんな事件によく出遭い、よく気づき、よく記憶している。その蓄積が、今の私をつくっているのだから、そして、その私が初めて下りた、大杉駅でその事件に出遭うのだから、世界はオールオーヴァーに部分も、全体も動いているんだなぁ。
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
大歩危駅周辺 |
土讃線車中から |
土讃線車中から |
大杉駅周辺 |
大杉駅周辺 |
大杉駅周辺 |
大杉駅周辺 |
大杉駅周辺 |
連泊した旅館 |
大杉駅周辺 |
2023.09.21 【嶺北だより（２)】
嶺北での初日。朝、8時にタクシーを呼んで、目的地に決めていた吉延(よしのぶ)の棚田に描きに行こうといていたのに、朝から小雨、天気予報もよくない。旅館の室内の写真を撮ったり、ICレコーダーに状況を録音したりで、時間をつぶしていて、窓の外を見ると、雨はやんでいる。あいかわらず曇りだが、我慢ができず、タクシーを呼んで、あらかじめ決めていた吉延の棚田の展望台に行く。途中のタクシーの車窓から棚田の視界が開けたとき、すばらしい風景が視界にとびこんできて、今回の描画の成功を確信した。画材をベンチに置いて、イーゼルを立てるポイントを探しにいく。最初の写真が10時48分、10時52分の写真の場所で、一旦、イーゼルを立てるポイントを決め、周りを少し歩きだしたが、坂道の視界の開けた道は、次々と、視界が変化して、農道を歩くのが止まらなくなった。画材をデポした展望台で、動画を撮ったのが12時8分だから、結局1時間20分歩いたことになる。ザッと回って撮った写真の多さでわかるが、持ってきたキャンバスは全部ここで、使いきることになるだろう。
イーゼルを立てた場所は、最初にキープしていた場所ではなく（結局、今回はここでは描かなかった）、展望台の手前の道の横にイーゼルを立てた。
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吉延の棚田秋色(1)15F2023年 |
21日、撮った写真と動画とICレコーダーの一人語りを音源にした動画３本
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その日に撮った動画と、ICレコーダーの音源動画
| https://youtu.be/Xn5ArsRbYTQ | https://youtu.be/s6_Lq0YqS1A | https://youtu.be/hEa_V9V4gdM |
2023.09.22 【嶺北だより（３)】
この日は朝曇り。8時に旅館前からタクシーに乗り、前日の取材で決めていた棚田の展望台の途中の横道で車を下りる。結局、この横道に、滞在中通うことになった。デジカメの写真の時間をみると、８時30分から9時11分まで、イーゼルを立てるポイントを探し、9時22分にキャンバスをセッティングしている。吉延(よしのぶ)側の斜面と、樫ノ川を挟んだ対斜面の大石の棚田のV字の向こうに遠景の山が画面に入る。近景の稲田のすこし緑の入った明黄色と組み合わさって、色も空間も美しい。先祖から永い時間をかけて、伝承し、維持し続けてきた、真っ当な仕事と生活が、眼前の美しい風景をつくっている。その風景の中で、スキルを磨いた画家が、イーゼルを立て筆をハシらせる。何度でも言うが、画家冥利につきる、画家になってよかった。
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2023.09.23 【嶺北だより（４)】
この日は天気がよさそうだ。いつも通りに8時にタクシーが、旅館前に来る。例の、農道の横道で車を降り、昨日描いた場所よりも先に進み、横道の上にイーゼルを立てた。農家の軽トラは描いている間はこないだろうとおもっていたが、棚田は手がかかるので、草刈りに、数度軽トラが通り、イーゼルを避ける時に、パレットの油壺を、ひっくりかえしてしまった。以後、軽トラの通行に邪魔にならないような場所にイーゼルを立てた。
8時42分に描き始め、9時50分に１点目を描き終え、10時40分に２点目を描き始め、11時44分に描き終えた。描き終えて、デジカメで、短い動画を撮った。
玉野にも小さな棚田はあるが、棚田の奥には、大抵水源のため池があり、その土手が見えるのだが、山の上の、これだけ大きな棚田の、全部のたんぼに水をまわす水源は下からは見えない。山からの水だけを水源にしているのだろうか。
この田を拓いた草分けの先祖と、それを伝承し、維持しつづけてきた、人間の良き生活の歴史が、この美しい風景を作ったのだ。
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吉延の棚田秋色)(4)/ 15F/2023年 |
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画家岡野岬石の【吉延の棚田】（２）
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2023.09.24 【嶺北だより（５)】
この日は、朝から快晴。こちらでのルーティン8時のタクシーの乗車、いつもの横道で下車、前日の一本先の坂道を下り、杉の木のある場所で8時42分にイーゼルを立てる。画面に縦に入る杉の木は、子供の頃大原美術館で観たゴッホの糸杉の絵を思い出す。その糸杉の絵は、贋作らしく、後年行った時には展示していなかった。贋作でも、出来のいい贋作で、子供の私には印象深い絵だった。ここでのこの杉は、翌日２点描いたので結局、３点描いたことになる。
一点目を10時6分に描き終え、すぐ近くの場所で、180度向きを変えて 10時33分、２枚目のキャンバスのイーゼルを立てる。坂道の柿の木のオレンジ色は、アトリエで絵の具が乾いてから手をいれなければ、現場では、無理だ。11時22分現場での描画を終える。午前中の太陽の光の中で、黄金色の棚田の実りのモチーフを、捨身本能覚で画筆を走らせる。ああ、幸せ！幸せ！
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吉延の棚田秋色(5)/ 15F/2023年 |
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吉延の棚田秋色(6)/15P/2023年 |
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2023.09.25 【嶺北だより（６)】
この日も、朝から天気が良い。今日は、先日描いた杉の木のある場所で、右側にある柿の木を画面に入れて描こうと決めている。こちらでのルーティンどおりの行動で、昨日と同じ8時42分にイーゼルを立てる。10時18分にP15号のキャンバスで1点目を描き終え、同じ場所で、F15号を縦に使って、2点目を描いた。同じ場所で描いたので、2点目の写真は撮り忘れ、時間は分からない。
夜旅館で、一人語りをICレコーダーに録音したので、後で、ユーチューブにアップします。
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吉延の棚田秋色(7)/15P/2023年 |
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吉延の棚田秋色(8)/15F/2023年 |
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2023.09.26 【嶺北だより（７)】
この日は、描画の最終日。午後5時には、画材の集荷を予定しているので、発送の準備などで時間をとられるだろうから、午前中に1点だけ描いた。イーゼルを立てる場所は決めていなかったが、横道を先に進んで8時49分に描き始め、10時17分に描き終えた。今日も天気は晴れて、嶺北滞在中、毎日イーゼルを立てたことになった。描く前にデジカメで撮った動画のなかでも言っているが、この旅は、感慨深い。
私が今まで描いてきた風景画は、人の手の入らない、原初の風景が多かった。人間の欲望で、自然の風景に手を入れたものは絵には邪魔だった。〈真・善・美〉は世界存在の軌持である。ソーラーパネルや風車は自然の秩序立った風景の中では美しくない。
日本人はなんと美しい風景を作ってきたのだろう。田の形も、道も、水路も自然の秩序に沿い、むりやり力で捻じ曲げたフォルムがどこにもない。眼前の風景を捨身本能画で画筆をはしらせれば、そのまま絵になっている。こんな風景を作り、維持してきた人たちに感謝、そして、こんな風景に出遭わせてくれた天に感謝します。
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吉延の棚田秋色(9)/15F/2023年 |
| https://www.youtube.com/watch?v=KYeYitFw4mY |
2023.09.27 【嶺北だより（８)】最終回
この日は、大杉駅を10時45分発の岡山行きの特急南風で嶺北を離れる。田井から大杉駅までの嶺北観光自動車のバスは、10時7分発があるが、その前の8時10分発のバスに乗って、待ち時間に、道の駅大杉で碁石茶を買って、朝食にご当地の立川(たぢかわ)蕎麦を食べようという予定だった。しかし、駅にコインロッカーはなく、リュックを背負っての初めての道は遠かった。そのため、立川蕎麦は、待ち時間が分からないので、食べられなかった。若い時から、行き当たりばったりで全国を旅行してき経験で、すぐに予定を組みかえる。待ち時間は写真を撮って過ごして、特急南風に乗った。
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嶺北だより2025年
画家岡野岬石のフォトブックシリーズ（２）【嶺北の棚田イーゼル画紀行】
| https://www.youtube.com/watch?v=4AOnlsDdPoU&t=12s |
◾️『画中日記』2025.10.14【土佐嶺北だより(まえがき)】
時は過ぎ行(ゆ)く。昨年旅館の予約であきらめ、今年は、ジグソーパズルのように計画を立て、なんとか実行し、南アルプス山麓で10点と土佐嶺北で４枚のキャンバスに手をつけた。その旅行が終わり、「南アルプス山麓だより」のフェイスブックの投稿が一昨日おわり、【画家岡野岬石のフォトブックシリーズ（２）【嶺北の棚田イーゼル画紀行】】のユーチューブアップが昨日終わった。今日から2025年10月2日から10月5日まで3泊4日、高須の棚田と吉延の棚田を描きに行った旅行記をアップします。まったく、時は、いつのまに来て、いつのまに去っていくなぁ。
◾️『画中日記』2025.10.15【土佐嶺北だより①】
2025年10月2日、朝4時起床。バスの始発5時13分発のバスに乗る。以前は始発が5時50分だったが、今は5時13分になっていたのか。昨日、パソコンで確認しておいてよかった。いつも岡山に行く時には、東京発7時4分か、間に合わなければ、8時4分の岡山行きの「ひかり」自由席に乗っていたのだが、これで東京駅で、岡山行き始発の7時4分にゆっくり間に合い、缶ビールとサンドイッチで朝食とタバコが一服できる。今回の経験で、朝食を買う売店と、それを食べる場所、タバコをを吸う場所を確認できた。以前は、売店で買って新幹線車内に持ち込み、車内で食べて、車内の喫煙ルームで一服するのが楽しみだったが、車内販売も通らなくなり、喫煙ルームもなくなって、諦めていたが、ゆっくりと駅内を歩き回って調べれば、ちゃんと食べる場所もタバコを吸う場所もあるんだね。
昨年「S氏の棚田」を描きにいった帰りの呉線の駅で、タクシー待ちの地元の老婦人が、駅のタクシー乗り場に車がこないで困っている、と話かけられた。タクシー乗り場を見ると、タクシーがいない場合は電話してください、と電話番号が書いてある。それを、伝えると、携帯を持っていないという。それではと、私の携帯で電話をかけようとしていると、その時ちょうどタクシーが乗り場に停車した。運転手に、ちょっと待ってと告げて、彼女に車が来ていると告げると、そこで、バッグの中から、バナナを取り出し持っていってくれと私にさしだした。運転手を待たせるのと、私も旅行中なのでそれをことわって、彼女を急がせタクシーに乗せた。
まったく、世の中の情報を得る手段を持たない老人は、家から一歩外に出ると、手も足も出ない、真っ暗闇の『暗夜航路』の世界なんだろうなぁ。現在の東京駅や新宿駅は、スマホやパソコンを使いこなせないので持たない老人や地方の人にとっては、私の父が東京では、まだ成人前の私に頼ってきたように、周りは整然とキッチリ動いている世界から自分だけが何も知らず、分からず、孤立して手も足も出ない状態なんだろうなぁ。
◾️『画中日記』2025.10.16【土佐嶺北だより②】
2025年10月2日、11時6分に岡山駅に着く。改札口で結城氏と西村さんとあう。3人で駅ビル内のマックで昼食、私はマックではいつもの、チーズバーガーとポテトとコーラ。マックの他のバーガーにはピクルスが入っていないので、私が銀座三越の1階にオープンした時（この時は、路上で食べたが、飲み物や、ゴミはどうしていたのだろうか）に食べた時からマックで食べるメニューは変わらない。あわただしく食べて、駅前の喫煙所でタバコを吸い、結城氏の車で四国に向かった。
私の旅行は忙しい。目的が、美しい風景に出遭い、そこでイーゼルを立てるという一点とハッキリしているので、ゆっくりと旅を楽しむという余裕も時間もない。これは、私の人生全部にいえることかな。
◾️『画中日記』2025.10.17【土佐嶺北だより③】
2025年10月2日、天気は曇りで、天気予報もこの先の日々下り坂だが、私は気にしない。天のことは、天にオマカセ。トイレタイムで本四架橋の与島で下り、午後3時頃目的の、高須の棚田に着いた。今日は、明日の描画ポイントの下見。
一昨年吉延の棚田を描いたときに、行こうとおもっていて、結局、吉延の棚田で持っていった10枚のキャンバスを描き尽くし、黒須の棚田は見残していたので、今回の旅行のメインの目的地だ。とりあえず、棚田の最上部から、写真を撮っていき、明日のイーゼルを立てるポイント２つを決める。
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◾️『画中日記』2025.10.18【土佐嶺北だより④】
2025年10月2日、高瀬の棚田を、明日の描画のための下見をして、いの町の川又屋旅館に着く。川又屋旅館は、土佐町の高須の棚田や、本山町の吉延の棚田とは距離があるが、昨年と同じく、2023年に泊まったタクシーが使える本山町の連泊の宿がとれず、ネットでさがし、ヒットした旅館だ。タクシーはないので、私の小中の同級生だった結城氏に車の運転を頼み、ジグソーパズルを組み合わせるように、この旅行が実現した。
来年傘寿の老画家にとって、時間は限られている。また、今度描こうと思って描くのを諦めたら、次に描ける時間のくる確率は、ほとんど無いだろう。
◾️『画中日記』2025.10.19【土佐嶺北だより⑤】
2025年10月3日、今日の天気は曇りで小雨もまじる一日だった。
旅館の朝食は7時からなのだが、同宿の釣り客が7時に食べるとのことで、8時にした。朝食前に、旅館のある周りの集落を写真を撮りながら散歩をする。白頭山禅林寺の参道の階段があったが、歳だねぇ、上がらなかった。写真を撮るのは、写真に時間を入れれば、一日の行動のメモがわりになるし、聞き慣れぬ小鳥のさえずり（画眉鳥だった）を、録音器がわりに使ったこともある。動画にしたり、アトリエに帰ってから、パソコンで検索するのが楽しみだからだが、禅林寺は、宗派は臨済宗妙心寺派で、御本尊は釈迦如来だ。お釈迦さまがご本尊のお寺は、私には初めてだが、ネットで検索すると、臨済宗妙心寺派の御本尊は釈迦如来だそうだ。以前京都で、臨済宗妙心寺派のお寺のホテル『花園会館』に泊まって、龍安寺の石庭を見たことがあるが、食事の精進料理が美味しかったことをおもいだす。
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◾️『画中日記』2025.10.20【土佐嶺北だより⑥】
2025年10月3日、朝食後旅館を出て、高須の棚田の1作目のイーゼルを10時頃にセットアップする。小雨が降っていて、キャンバスとパレットが濡れて、油絵の具がハジいて描きにくいが、このくらいの雨は、以前数度経験しているので問題ない。歴戦の老画家には、想定内である。もちろん、これ以上の雨では諦めるが、条件が悪いからといって、カンジンの絵のデキが悪くなるわけではない。現に、小雨で遠景が霞んだ山の棚田の、明るいオーレオリンの色彩は、初めて見る光景で美しい。
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嶺北の棚田(1)／F15号／2025年 |
◾️『画中日記』2025.10.21【土佐嶺北だより⑦】
2025年10月3日、手早く1作目を終え、2作目のポイントに場所を移す。この間、日頃は自分の現場での写真が撮れないので、結城氏に、彼のスマホで撮ってもらい、彼が撮った棚田の風景写真も一緒にパソコンに送ってもらい、フェイスブックにも動画にも使わせて貰った。2作目の写真は撮り忘れていたので、前日、下見で撮った写真をアップします。旅館に持ち帰って加筆しこの日を終えた。作品の写真も、撮り忘れたので、今朝、アトリエで撮ったものです。完成すれば、あらためて最新作でアップします。
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嶺北の棚田(2)／P15号／油彩／2025年 |
◾️『画中日記』2025.10.22【土佐嶺北だより⑧】
2025年10月4日、この日も曇り時々小雨。嶺北の棚田は山間部にあるので、場所によって、雨の強さが違う。子供の頃からの、物事を良い方に考える楽天的な気質は、老いた今でも健在で、天気にことなど気にならない。だって、だいたい、気にしたって天の為すことには逆らえないのだから、こちらがそれに合わせるしかないのだから。
ということで、今日は、高須の棚田から、吉延の棚田に場所を移した。ここに来る前は、高須の棚田で4点描くつもりだったが、昨日2点描いて、今日の2点を描く場所がみつけられなかったので、一昨年10点描いた、吉延の棚田に、予定を変更したのだ。イーゼルを立てる場所は、前回描き残した場所で、目算はあった。
結果的には、これが成功で、前回天気のよかった棚田の風景が、遠景が霞み、まったく違った景観をしている。これだから、イーゼル画はやめられない。9時頃現場に着き、写真を撮って9時半にイーゼルをセットアップして10時5分に1点目を描き終える。
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嶺北の棚田(3)／F15号／油彩／2025年 |
◾️『画中日記』2025.10.23【土佐嶺北だより⑨】
2025年10月4日、10時5分に1作目を描き終え、近くで向きを変えて2作目にとりかかる。2作目はガスで中、遠景が霞み、描画の仕事量が少なくて、10時42分に描き終えた。今日の2点は、嶺北の棚田の、モチーフとしての、多様さと奥深さを感じ、本山町に借家かアパートを借りて、1年くらい通って描いてみたいという、若い時からのいつもの気持ちが湧き起こる。こんな気持ちが湧き起こるというだけで、身体は衰えても、タンペラマンは、まだまだ衰えてはいないぞ。
帰路に、滝のある「にこ淵」で写真を撮って、旅館で加筆して、今回の、旅行の目的が終わりました。
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嶺北の棚田(4)／P15号／油彩／2025年 |
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◾️『画中日記』2025.10.24【土佐嶺北だより⑩最終回】
2025年10月5日、朝食後、私の今回の旅行の中継地、玉野への帰途につく。予定では、今ユーチューブに何本もアップされている、UFOラインを通って玉野に行くつもりだったが、UFOラインは、いの町の酸欠マラソンのイベントのため通行止めだそうで、結城氏はルートを変更した。人や自転車が通れるトンネルでは日本一長い、5,432mの寒風山トンネルを抜けて西条市から本四架橋経由で、玉野にかえる。UFOラインは、道路にほぼ並行する、登山道があって、私が若い時ならば歩いてみたい道が、ユーチューブにアップされている。今はネットで求める情報にヒットするが、昔は、情報が、簡単に得られなかったんだよ。
途中与島で休憩、行きは曇りだったが、今日は晴れて、本島の上に、低い雲がでていて、その雲の影が島のうえにおちている。今、アトリエ画では、『雲の影』のシリーズでオイル オン ペーパーの作品を制作しているが、ここでの本島の数枚の写真から、そのうち数点の絵になるだろう。
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