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(20)野菜の無人販売が可能な日本

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(20)野菜の無人販売が可能な日本(101頁)

経営では考え方として、トップダウンで何かと末端とトップを分けてしまって、末端から搾取するというような形に考えるのは良くない。経済のことは分からないけれど、形としてそれは悪いと思う。たとえばイギリスがかつて、東インド会社を作った。一方でイギリスの資本家が綿を作り、一方ではイギリスの元からの羊毛産業がある。新しく会社を作ったほうはインドでやったほうが儲かるが、するとイギリスの本来の生産が空洞化してしまう。つまり、儲けるのは資本家だけ、本国の国民のことなどおかまいなし。その後も、資本家、経営トップ、労働者と分けてそれぞれが、自分の取り分のお金をめぐって争う。こうやって、けんか腰で人生をおくる組織や会社や国が、いいものが作れる訳がないし、作り続けることができる訳がない。

もう一つ、ハンバーガーショップが中国で生産すると安いからとそれを実行したら、それは利潤のためである。安全で、美味しくて、安価なものを作ろうとするのでなく、買って食べる人に喜ばれるものを作ろうとするのではなく、儲けのための経費削減。すると、全部がグルっと回って儲かるのは経営者だけである。人件費は少なくし材料費も削減、関わる皆の労働は辛いし儲かるのはトップだけとなると、それで金を儲けた人は、パナマ文書のように、税金も払わず、国から外に持ち出して隠すことになる。これで世の中が潤うはずがないし、きちんとした組織や会社や国に、いつかは負けるだろう。

みんなで良いものを作るという、末端までどこを切っても同じ形ちにしないといけない。買う人が「この価値にしては安くて美味しいね、安全だね」と言える食べ物を作り、作る側も社長から末端の社員まで全員が同じ姿勢で働けば、損をする人は一人もいない。お金を払うお客も得をする。しかし、逆にトップダウンで、一部の儲けのために全員のお金が吸い上げられるとしたら、形が悪い。そんなことをして、世界が良くなるはずがない。

日本ではよく見かけるが、無人の農産物販売があると、安くて便利で農家の人も手間がかからずコストがかからず、買う人も皆が助かる。損する人は誰もいない。いつも買わないとしても、それはあってほしい。しかし、一人でもインチキをする人がいるとコストが生じるようになる。タバコやウイスキーの小瓶を一つ買うのにも、アメリカでは仕切りを挟んで慎重にお金をやり取りする場がある。それでは一個の小瓶の販売にどれだけコストがかかっていることだろう。買う人にとっても高くなるし、売る人も面倒である。

保険もそうである。日本でしか保険は無理だろうと思うが、みんながインチキをしないから保険制度が維持できるのであって、もし不正が当たり前の国で保険を作ると掛け金が異常に高くなる。医者も不正をして架空請求したり、患者もニセものの保険証を使ったり他人の保険証を使ったり、もう保険金詐欺は山ほどあるだろう。医者と結託すると詐欺ができる。保険会社も医師も患者も信用ならない。すると保険制度がすぐに破綻するのは、当たり前である。国も、会社も、国民もすべてにお互いの信頼とモラルがないと、保険はなりたたない。

そうなると皆で損をするのだ。不正の分皆で損をするが、日本では安い掛け金でしっかり成り立って皆で得をする。これはモラルが全員に伝わっていないと成立しない。保険制度のことは、外国から見ると理解できないらしい。オバマ大統領は保険制度を作ろうとしたがアメリカではうまくいかない。まず保険金詐欺でボロボロになるだろう。外国には野菜の無人販売なんて存在しない。あんなものを見たらビックリするのだ。

被災地の近くの自販機で、人もいないところでお金を入れたら商品が出るということに、外国の人はビックリするらしい。機械にお金が無事に入っていることに驚くのだ。壊してしまうかもしれないのに正常に動いているし、それを「なぜ?」と日本人に聞くと、かえって「何が不思議なの?」という顔をされる。そこがまた凄いというのだ。

昔の映画で観たことがある。マフィアのギャングで、路上駐車の料金のコインが入っている部分を盗んできてこじ開けているのだが、とんでもない開け方をする。日本人からみれば、小銭を取られることより器械を壊されることのほうがよっぽどお金がかかるとおもうのだが。銀行のセキュリティー信号の配線をいじって正常の信号を送り続け、その間に貸金庫をこじ開けて盗むギャングと警察と対決して、ともかく凄まじいやり取りが延々と続く。そんなことは、あらかじめ対策したら、滅茶苦茶にコストがかかって仕方ないのだ。

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