■ナットはしっかり締めておかないと、それが押さえておくべきものがまた動いてしまうので、すぐに元のようにゆるんでしまうのだ。(103㌻)
■説明しないこと!―記述すること!(126㌻)
■あらゆる地上的な幸福が卑小に思えてしまうこの絶対的なものへの努力にあって、眼差しは上に向けられ、前方の対象に向けられはしない。(129ページ)
■人は職人の比喩に惑わされているのだ。誰かが靴を造るというなは一つの達成である。しかしいったん(手元にある材料から)造られたなら、靴はしばらくの間は何もしなくても存在し続ける。しかしながら、もし神を創造主と考えるのなら、宇宙の維持は宇宙の創造と同じくらい大きな奇跡であるはずではないのか。(139㌻)
■芸術作品は永遠の相の下にみられた対象である。そしてよい生とは永遠の相の下にみられた世界である。ここに芸術と倫理の連関がある。
日常の考察の仕方は、諸対象をいわばそれらの中心から見るが、永遠の相の下での考察はそれらを外側から見るのである。(181㌻)
■世界は日々われわれに対して存在するにもかかわらず、その存在は奇跡と見なされるべきであり、それについてはいかなる言語的な表現も無意味とならざるをえないのである。(210㌻)
■そういうことが起きるのは、君がこの地上に足で立つのをやめて、天にぶらさがるときだけである。(259㌻)
『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記』より 2006年1月29日