山中湖村-6デジタルフォトデータ
山中湖村2014-11-28 調節池 平野
2014.11.28 【富士(131、132、133、134)】
今週の山中湖行は、26日(水)から今日(28日、金)までいた。27日は天気に恵まれ1日中快晴、1ヶ月ぶりの外光の下でのイーゼル絵画を堪能した。午前中調節池で「富士(131)、P8号」と「富士(132)、F8号」の2枚、午后から平野の山中湖畔から「富士(133)、P10号」と「富士(134)、F10号」の2枚、都合4枚のタブローに手を付けた。前日(26日)の雨が山頂は雪で、新雪のホワイトが美しく、雪の範囲も下がってきている。
27日は、朝起床したら周りは霧、しかたなく滞っている絵に手を入れていると、霧が晴れ陽が差してきたので、急いで調節池に出かける。調節池でイーゼルにP8号をセットすると、再び霧に包まれ富士は見えない。霧は大抵朝の一時だろうが、ジッと待つ事ができない性格なので、近くで霧の林と霧越しの太陽の絵をF8号で描き始めると、霧が晴れる。また元に戻してP8号のキャンバスをうめ(富士-131)、F8号のキャンバスは「富士(132)」に廻した。一日の最初に少しバタバタしたが、現場にいたおかげで、霧の流れてくる一瞬と、霧の晴れる一瞬しか見れない、珍しい霧越しの富士に出逢った。これはさすがにイーゼル絵画では描けないが、シッカリと裸眼にプリントしたし、デジカメでもメモったのでいつかアトリエで描いてみようとおもう。
Ⅰ日に4枚はさすがに疲れたが、光を浴びながら無心に筆を走らせていると、身心はスッキリと浄化された。
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富士(131)/P8号/油彩/2015年 |
富士(132)/F8号/油彩/2015年 |
富士(133)/P10号/油彩/2015年 |
富士(134)/F10号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2014-12-5 平野
2014.12.05 【富士(135)】
今週の山中湖行は、3日(水)から今日(5日、金)までいた。着いた日の3日は快晴なので午后3時頃湖面が光る情景をねらって、平野の湖畔にイーゼルを立てた。木立越しの太陽は光が弱まって周りの色彩が残ってうまくいったが、直接のほぼ真正面の太陽は前面が真逆光になって色彩が飛んでしまう。この絵のすべり出しは今のところうまくいってはいないが、まあその分、今後の行程が画家の腕力の見せ所であってファイトがわく。
4日は天気が悪く、終日、7月から持ち越している「富士(115)」に手を入れてほぼ完成させた。今朝は、夜明け前に美しい紅富士だったが、前夜描く準備をしていなかったのでチャンスを逃してしまった。まあ、でもそんなにガツガツする事もないか。……イカン、イカン!!
イーゼル画家の標語。『自分が描かなきゃ誰が描く。今描かなきゃ何時描く』
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富士(135)/S10号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2014-12-18 調節池
2014.12.10 【富士(136、137)】
今週の山中湖行は、8日(月)から今日(11日、木)までいた。いつもとは違う曜日なのは、山中湖村の不燃物のゴミ出しが火曜日の朝なのと、明日金曜日の朝はこちら柏での資源ゴミの収集日のためだ。両方共出せなくて溜まっていたので、新年を前に明日にはスッキリするだろう。
9日は前日P15号のキャンバスを張って、夜明け前の紅富士を描く予定で、準備していたのだが、電池の不調で 目覚まし時計が1時間遅れて紅富士には間に合わず、それでも、雲ひとつない早朝の青空と、すっかり葉を落とした木立の茶色と、白い冠雪の広がった富士とに、充分堪能した。
午后から、何時か歩こうと思っていた、東富士五湖道路の山中湖インター附近の道をロケハンした。場所としては上々なのだが、木立に遮られて視界が開けた所が無く今回のロケハンはカラ振りに終った。あと、もう1ヶ所歩いてみたい道はあるが、このぶんだと期待薄だな。今歩いて通って描いている、調節池のポイントは希有の出逢いだとつくづく思う。
10日は、またもP15号のキャンバスを張って、6時半頃調節池にイーゼルを立てた。今回は、ドンピシャリ美しい紅富士に立ち会えた。おまけに、描いている途中で、冠雪がピンクから白に変る途中、紫と水色の混じった空の前の、夢のような美しい富士に出遇った。裸眼の記憶と、デジカメでの写真のメモで、次の作品の目標ができた。ありがたい、ありがたい。
電車の中で『正法眼蔵(一)』(増谷文雄全訳注 講談社学術文庫)を読んでいるが(この本は、多くの『正法眼蔵』の現代語訳のうちで最もすぐれています)、ちょうど、下記の文章に出遇った。
〔これも一種の正しい修行であり、正しい信心であり、正しい信身である。それを正しく修するときには、谿(たに)の声も谿の色も、山の色も山の声も、みな八万四千偈(げ)を惜しみはしない。自己がもし名利(みょうり)の身心(しんじん)を惜しまないならば、谿も山もまたそれらを惜しまないのである。たとい谿声山色(けいせいさんしょく)が八万四千偈(げ)を実現しようと実現しまいと、あるいはそれが夜であってもなくても、谿山の谿山たることを挙げて示す力が具(そな)わらなければ、誰か谿の声を聞き、山の色を見ることを得るであろうか。(「渓声山色」、214頁)〕
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富士(136)/P15号/油彩/2015年 |
富士(137)/P15号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2014-12-18 パノラマ台
2014.12.18 【富士(138)】
今週の山中湖行は、17日(水)から今日(19日、金)までいた。18日(木)は久しぶりにパノラマ台に行き、夏に見付け、何点か描いたポイントにイーゼルを立てた。この場所は、近景の松の木の緑が、ほとんど枯れ色の風景の中で変化をつけ、冬はこの場所とあらかじめ決めておいた場所だ。去年は除雪した雪で、ここにはイーゼルが立てられなかったので、この冬は大雪がふらなければ何度か通うことになるだろう。
しかし、山中湖村寒い。昨日の最低気温はマイナス6度、今朝の最低気温はマイナス9度だったそうだ。一昨夜は家の中の水道も朝凍りついていたので、昨晩は水をチョロチョロだしっぱなしにしておいた。これからは、外で描くときはホカロンが手放せない。足の指先と、特に手の指先がジンジンしてくると、描画にさしつかえる。おまけに昨日は、風も強かったので、二重に厳しい条件だった。指先を暖めるのと、キャンバスやパレットを押さえるのに、何度も視線を中断させられて、そのつど筆先の行き場所を失ってしまうので、鳥がさえずるように眼と手が動いてくれないのだ。最後は我慢できず少し端折ってしまったが、アトリエに戻って少し手を入れたら、いい絵になりそうな気配がする。結果良ければすべて良し、だ。
タンペラマン!タンペラマン!
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富士(138)/P15号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2014-12-29 調節池 平野
2014.12.29 【富士(139)、富士(140)、富士(141)、富士(142)】
今週の山中湖行は、24日(水)から今日(29日、月)までいた。連日、冬型の天気で一日中富士がよく見え、湖畔の風に悩まされた日が1日あったが、連日筆を走らせた。
これで、今年の山中湖は終りだけれど、そして、予想以上に絵画上の成果があった年だったのだが、「好事魔多し」で、今朝、山中湖の〈一の橋〉のバス停までの、うっすらとミゾレ混じりの道路で滑って仰向けに倒れ、したたかに背中を打ってしまった。幸いにも、骨や神経に異常はない様子で、今も姿勢によっては少し痛いが、2、3日すれば治るだろう。
先週は、日帰り温泉の露天風呂で滑り、浴槽の中に仰向けに倒れ込んだので、これで2度目だ。良い現象に出遇うのは一期一会だが、厄災に出遇うのも一期一会だ。いくつかの偶然が重なって、原因になって、滑って転ぶという現象に現成(げんじょう)する。滑りやすい道、私の歳、長年履き慣れた軽登山靴だが靴底の凹凸の角がすり減って丸くなっている、右足の靴の踵の部分の凹みに大きめのジャリ石を嚙んでいた、……こんなことが重なって、厄災に出遇い、結果が悪ければ身体や実存に歪みをつくる。その歪んだ世界観と視線でモチーフを見て描写する。
恐ろしいよ。背中の痛みで、普段は気にもしない、御殿場の立食い蕎麦屋でのカップルの女性のウドンの食べ方(猫舌らしく、ウドンを一本づつフーフー吹いて食べている)にまで腹が立つ。こんな風に世界を見ると、美しい画が描けるはずがない。
世界を、「美しさに満ちている」、その世界を描写して、「美しい画を現成(げんじょう)させる」ためにもマイナスポイントは避けなければならない。マイナスポイントは歳をとると増える一方なのだが。
……タンペラマン!タンペラマン!
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富士(139)/P10号/油彩/2015年 |
富士(140)/P10号/油彩/2015年 |
富士(141)/P20号/油彩/2015年 |
富士(142)/M20号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2014-1-9 伐採地 平野
2015.1.09 【富士(143)、富士(144)、富士(145)、富士(146)】
新年の山中湖行は、7日から今日(9日)まで山中湖村で過ごした。冬型の天気図で、日本海側で雪が降る時は、富士山は大抵晴天で一日中姿を現わす。今回の山中湖滞在中ずっと晴れて、木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)がタダでモデルになってくれているのに、これを放っておいて、他のことはできない。
但し、新年早々なので、富士(143)-F3号-7日3時半過ぎ、富士(144)-P8号-8日9時過ぎ、富士(145)-F8号-8日10時半過ぎ、富士(146)-P4号-9日3時判過ぎと、小品ばかりで軽めの肩ならしの出だし。なかでも、8日の日は、平野の山中湖畔の初めてのポイントでP8号とF8号のキャンバスを持って行ったのだが、P8号をオーソドックスに横構図で描いた後、F8号のキャンバスを縦に使って湖畔の富士を描いたのが、東伊豆からのイーゼル絵画で鍛え上げたスキルの蓄積の成果だろう。
今年も(いつも)、絶好調のすべり出しだ。
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富士(143)/F3号/油彩/2015年 |
富士(144)/P8号/油彩/2015年 |
富士(145)/P8号/油彩/2015年 |
富士(146)/P4号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2014-1-15 アトリエ
2015.1.16 【樹氷】
年明けて2度目の山中湖行は、14日から今日(16日)まで山中湖村で過ごした。15日は朝曇り、昼過ぎから雨後みぞれ、雪にかわり、山中湖村は気温が低いので、あっという間に雪が積もり、夕方から道路に除雪車もでた。というわけで、当日パノラマ台に描きにいく予定でS20号のキャンバスを張って準備していたのだが、今回は、外に描きに出られず、たまっている描きかけの絵に手を入れて滞在中を過した。
今朝は天気が良く、気温も高めなので、昨日の着雪した雪が透明な氷のたま状になって梢に付き、それが朝陽にキラキラ輝いて美しい。急いで、デジカメで撮ったが、朝陽で氷が解けてどんどん落ちてゆくので、これはイーゼル画では描けない。窓からの梢を、一旦イーゼル画で描き、記憶と、写真を参考にしてアトリエ画で描けば何とか画面に定着できるだろう。
将来、この時の絵が出来ようが出来なかろうが、こういう美しさを見逃さず、私の眼が認識、経験することが画家としての修行のおかげなのだから、描きたい絵のイメージがわくだけで、おもわず小さなガッツポーズがでる。
まさに「現成公按」、「修証一等」だね、これは。
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◾️山中湖村2015-1-23 アトリエ
2015.1.23 【富士(124)、富士(138)】
今週の山中湖行は、21日から今日(23日)まで山中湖村で過ごした。今回は天気が悪く、一度も外に出られなかった。外で描けないのは残念だが、その代わりに、去年の10月16日に手を付けた『富士(124)』と、12月18日に手を付けた『富士(138)』をほぼ完成させた。今日柏に持ち帰ったので、近日中に「最新作」に投稿します。
柏に帰ってくると、宅急便で3月の個展のDMが出来あがって届いていた。柏にいると、テレビも新聞も長年取っていないし、ほとんど絵を描くことと、読書と、パソコンの他にはなにもしてはいないのだが、そうはいっても、日常生活の雑多な出来事を処理しなければならない。そして、知らず知らずに日常生活の空間に染汚(ぜんな)される。
東伊豆から御殿場、山中湖とほぼ毎週、純粋に絵の世界にひたれる空間を確保出来る巡り合わせに出会えたことは、なんと有難く幸せなことなのだろう。天の、「見えざる手」に感謝します。
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富士(138)/P15号/油彩/2015年 |
富士(124)/P15号/油彩/2015年 |
◾️山中湖村2015-1-30 パノラマ台
2015.1.30 【富士(147)】
今週の山中湖行は、28日から今日(30日)まで山中湖村で過ごした。昨日(29日)は、朝から快晴で、このところねらっていたパノラマ台でイーゼルを立てた。ガードレールの外側の狭いポイントなので、除雪した雪でイーゼルが立てられないおそれがあるため、大雪が降る前にぜひとも描きたかった場所だ。去年の12月18日にP15号(最新作にアップした、『富士-138』)で描いた場所で、うまくいったので、S20号のキャンバスで筆を走らせた。
天気も安定し、雲がほとんど湧かず、風もなく、気温もこの時期にしては高めなので、キャンバスを埋めていくのを急がされない。外で描くと、こんな好条件が揃うことはめったにないので、まったく気持の良い描画で、キャンバスがうまっていくのが惜しくなるような時間だった。それでも、大きめの画面なので、1点描き終えると、もう1点に手を付ける余力はない。
描画の条件の良し悪しと、作品の良し悪しは比例するとはかぎらないが、むしろ、今まで、悪条件を克服したときの方が結果良かったりするのだが、楽しく描けて、結果も良ければそれにこしたことはない。
その日は、午後から曇り、夜雪になって、今日は山中湖村では大雪、これで、この場所は当分描けないだろう。イーゼル絵画は、而今(にこん)の現成公按をキャんバス上に変換、定着する行為であるなあと、つくづく感じる。
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富士(147)/S20号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-2-6 アトリエ
2015.2.06 【雪の中】
今週の山中湖行は、4日から今日(6日)まで山中湖村で過ごした。昨日(5日)は、予定では平野の湖畔でF10号の縦構図で描く予定で準備していたのだが、朝からの雪が一日中降り続き、終日アトリエで溜まっている絵を描き進める。昨年の、11月27日に調節池で描いた、『富士(131)』(P8)と『富士(132)』(F8)で、ほとんど完成したので、明日こちら(柏)で撮影して、最新作にアップできるだろう。
写真は、今日の朝の光の中のアトリエの作品、もちろん、こちらのアトリエは北窓ではないので、描くときは遮光のカーテンをして描きます。フェイスブックには窓からの富士山と、窓の外の雪景色の写真もアップします。
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◼️山中湖村2015-2-13 平野 調節池
2015.2.13 【富士(148)、富士(149)】
今週の山中湖行は、11日から今日(13日)まで山中湖村で過ごした。昨日(12日)は一日中ほとんど休息なしに外で過ごした。まず、6時起床、コーヒーと昨日来る時に寄った、山中湖のバス停とアトリエの中間にある喫茶店『ソレイユ』のシュークリームでタバコを一服、ジュリアンボックスを担いで「一の橋」のバス停まで行く。途中の凍結した道路を歩くのが恐いので、軽登山靴に滑り止めの鋲付きのアッタチメントを付け、靴下には携帯カイロを貼付けて7時26分発の道志小学校行きのバスに乗る。いつもは、同じ富士急山梨バスの山中湖周遊バスのふじっこ号で平野に行くのだが、今回は初めてこの路線バスに乗車、平野で降りず、終点まで行って、同じコースの折り返しの同じバスで平野で降り、「富士(148)」をP10号で描いた。
柏に帰ってきてネットで調べたのだが、この道路は国道413号で神奈川県の津久井湖に注ぐ道志川沿いの、『道志みち』とよばれ、冬は雪や凍結で、おまけに2車線の狭い山間のコースなので、一部のマニヤには有名な道らしい。その道を裏から行った訳で、山伏峠のトンネルを超えると、山中湖側の明るい湖畔の別荘地の風景から、つげ義春の『貧困旅行記』的雰囲気に一変する。両側を山に挟まれほとんど平らな土地がないのだ。(8時半頃、終点に着いて、同じバスの富士山駅行きの発車まで20分位時間があり、写真と動画を撮ったので、フェイスブックに投稿します)
同じ道を引返して平野で降り、湖面の全面結氷はしなくなって久しいが、平野側の湖面は浅いからなのか結氷していて、前景が白い雪上の富士を描く。昼前に描き終え、12時42分に平野発のふじっこ2号の待ち時間まで、『まるたか』(中華料理が中心で料理が美味しく、意外にもコーキーがうまく、タバコも吸える)で定食と生ビールとコーヒーで食事をすます。
午後1時半頃にアトリエに帰り、午前中に描いた絵に手を入れ、2時半頃調節池に向う。この時の雪中の上り道がつらかったが、現場でイーゼルを立てさえすれば、すべて忘れる。4時頃ちょうど富士山頂の真上に太陽がくるだろうと、前日、時間をみていたので3時頃から描き始める算段だ。
ダイヤモンド富士は山と林が黒くつぶれてしまうので、私には画興が湧かない。太陽が山頂に隠れない、山頂の真上にある富士、「天頂富士」を見てみたい、描いてみたいという私の画描き魂と、天の見えざる手がこの場(トポス)に引き会わせ、キャンバスの上に現成する。3時頃から下部の林から描き始め、4時頃のクライマックスに最後の描写を遇わせたのだが、林の部分の描写は1時間前の調子なので、実際の関係とは違っていた。今後描き進める時に修正していこう。こんなことも、やはり、事件は現場でしか起こらないんだなあ。
アトリエに帰って、1時間くらい修正と、後片付けで6時前にやっと画家の1日が終る。
長年使っている、ジュリアンボックスも、履き慣れた軽登山靴も、山中湖村の貸別荘も、これだけ使いきれば、本望だろう。この私の身体も、時間も、天がこの世に私という存在を現成せしめたレーゾンデートル(存在理由、存在価値)をこの日のように使いきれば、一日の終りは、「廓然無聖(かくねんむしょう)」で清々しい。
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富士(148)/P10号/油彩/2015年
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富士(149)/F12号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-2-20 平野
2015.2.20 【富士(150)】
今週の山中湖行は、18日から今日(20日)まで山中湖村で過ごした。着いた日は小雪が降っていたが、翌日(19日)は晴れだというので、F20号とS20号のキャンバスを用意して14時33分一の橋バス停発のふじっこ号で平野に行き3時過ぎに山中湖湖畔にイーゼルを立てた。先週の調節池に続いて、今週は4時過ぎの富士山頂の日没、湖畔からの「天頂富士」がねらいだった。この日は冬型の気圧がゆるんが暖かい一日で、こういう日は天気が良くても早朝を過ぎると山頂が雲に隠れることが多い。
現場に着くとやはり雲が多い、一瞬このまま写真だけ撮って帰ろうかとも考えたが、雲間からの太陽光線が、近景の結氷した湖面には反射しないが、遠景の波に乱反射した結氷していない湖面の光が美しい。今日のもう一つの目的がこの結氷した湖面と結氷していない湖面の、太陽が正面やや上方の時の反射の確認で、その写真を撮ってから、あらためてこの光を描こうと腹を据える。
御殿場の一木塚で富士山頂も雲に隠れ小雨も降り出して途中であきらめかけたが、突然、画面のなかの計ったような位置に虹が現われ、イーゼル画で虹を描く僥倖に恵まれたことがある。イーゼル画はアトリエ画と違って、一期一会の而今(にこん)の現成(げんじょう)で、その時にイーゼルを立てれば、条件が多少悪くても、それを描くしかないし、むしろ描くべきである。
キャンバスの表面が、美しい光と、秩序ある空間に現成結実すれば、すべてが正解に変わる。結果良ければ全て良し。その絵がつまらないものになるのは、自分の力の無さのせいなので努力するしかない。だから、条件に恵まれた幸せな絵は勿論それに越したことはないが、条件がそろっていなくても、それはそれでいっそうのファイトが湧く。それがイーゼル絵画というものだ。
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富士(150)/F20号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-2-27 伐採地
2015.2.27 【富士山麓風景(24)】
今週の山中湖行は、25日から今日(27日)まで山中湖村で過ごした。メインの26日はパノラマ台で描くつもりでS25号を用意していたのだが朝起きたら霧、それならばと、裏の伐採地に出かけて、F6号のキャンバスでイーゼルを立てた。後半霧雨になって、パレットとキャンバスの表面の水滴がハジいて描きにくかったが、1枚でも外で描ければ気がすむ。
いつもなら、個展の準備はとっくに終っているのだが、今回はダン箱作りと、キャプションのラベル作りが残っている。月曜日に搬入、飾り付けなので明日、明後日と2日間しかない。そして2週間山中湖には行けない。そのため、たとえ小品1点でも描けてよかった。
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富士山麓風景(24)/F6号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-3-18 伐採地
2015.3.18 【富士(151)】
今週の山中湖行は、16日から今日(18日)まで山中湖村で過ごした。いつもの曜日とは変則で、月曜日から水曜日までだが、その訳は、2週間個展のために外で描けなかったので、たまらず出かけた。
人間は身体が一つなので、自分の生きている世界が間違いなく世界と思っているし、またそう思わなくては生きてはいけない。2週間銀座の画廊に通っていると、その空間の世界に、日常生活のリアリティーが次第に染まっていくのが分る。
私が今まで住んだ場所も、世界中のあらゆる場所も、間違いなく同じ時間を過ごしているのだから、当然富士は、そして山中湖村のアトリエはその場所での日常の時間が過ぎている。世界全体の存在は、一つの空間と、時間が過ぎているのだが、分厚い電話帳のように、人は色々のページで生きている。
しかし、たった一人外光の中で絵を描いていると、そのような相対的な世界が消え、世界存在にダイレクトに相対し、また相互挿入して一体化する瞬間を味わえる。これが、たまらないんだなぁ。だから私は、少し絵から離れると、薬の切れたジャンキーのように、イーゼル画を描きたがるのだ。
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富士山(151)/P10号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-3-27 山伏旧トンネル
2015.3.27 【山伏旧トンネル】
今週の山中湖行は、25日から今日(27日)まで山中湖村で過ごした。26日は、「一ノ橋」のバス停から日に朝夕2本しかない7時26分の道志小学校行きのバスで途中の「山伏峠」で降り、近くの旧廃トンネルの前でイーゼルを立てた。トンネル、橋、道はなぜか心惹かれる。似たようなモチーフは、以前沖縄の中城(なかぐすく)城趾で数点描いたことがあるが、イーゼル画では初めてだ。どんな絵になるのか見当もつかない。
イーゼル画を5年もやると、数々の場数を踏んでいるので、こういう時の対処法は自然に身体(からだ)が反応する。こういう時は、自分が対象を捩じ伏せようとか、造形的に捉え直そうとか、自分の心理を表現しようとかしないで、つまり、自分の自我意識を消し去って、オートマチックに視線と手が交換する、行き先は目と手に聞いてくれという態度でやるしかないし、また現実に他のモチーフのイーゼル画でも最近はそうしている。一応、画面は埋めたが、まだどんな絵になるのか分らない。絵を進めるのが楽しみでもあるし、進行が堂々巡りをすれば、その時は絵を放っておけばいいのだ。
帰りは、終点道志小学校から富士山駅行きの同じバスの折り返しに間に合ったので(9時26分「山伏峠」)それで帰ってきた。来週は、平野で富士を描こうとおもう。
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富士山麓風景(25)/F10号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-4-1 パノラマ台
2015.4.03 【富士(152)】
今週の山中湖行は、1日から今日(3日)まで山中湖村で過ごした。2日は「一ノ橋」のバス停から7時26分の道志小学校行きのバスで平野で降り、湖畔からの富士を描く予定だったのだが、朝霧で富士が見えず行くのを中止。朝食後、天気予報通りに晴れて富士が見えたので、10時頃から正午まで、予定を変更してパノラマ台の、松を近景に入れた私のお気に入りのいつもの場所でイーゼルを立てた。松のグリーンがまだ枯れ色のオークルのなかで色とフォルムの変化をつけ、まだタップリとある冠雪のホワイトと空のブルーの色調の組合わせが美しい。おまけに、低い雲(その中は霧、山ではガス)が籠坂峠から山麓を這い流れ、これも昼近くのこの時間では珍しい。富士山には、雲が一部分掛った方が高さが表象されるので、これもおあつらえむきだ。
以上のような風景を、自然は「おまかせ」でジャブジャブあふれさせてくれているのだよ。アリガタイ、アリガタイ。
自然の光景の前でイーゼルを立てれば、画家が、創造だの造形だのという不遜な気持が吹き飛んでしまう。ただ、歎き、ひたすら努力するのは、目の前の現成している完璧な美しい世界をキャンバスの上に変換できない自分の描写力の不足だけでなのだ。描写力をつけて、より美しい絵を描くには、負荷をかけた練習、努力、勉強、修行しか方法はない。でも、これがまた楽しくてたまらないんだよ。「信ずる者は救われる」。
子供の時に聞いた、玉野の町を、太鼓を叩いて伝道、布教していたキリスト教の牧師の歌を思い出した。「♪たーだ信ぜよーお、たーだ信ぜよーお、信ずるもーのはだーれーも、みーなすーくわれん♪」
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富士(152)/S20号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-4-10 アトリエ
2015.4.10 【待春】
今週の山中湖行は、8日から今日(10日)まで山中湖村で過ごした。8日は御殿場までは雨だったが山中湖は雪。昨日、今日は曇りで結局今回は外では描けなかったので、滞っている作品に手を加えた。
それでも今朝は、向いの家の樹の後に、春の朧空のなかの朝陽が上っていたので、急いでP6号のキャンバスで描いた。今回はイーゼル画といっても室内なので、おまけに色彩がない対象なので、いつもと違って木炭で下描きをした(フィキサチーフでは着(と)めない)。たとえ小品でも、1点でもイーゼル画が描けると、気が落ち着く。私にとっては、今やイーゼル画は、禅僧の坐禅のような存在になりつつある。
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富士山麓風景(26)待春/M8号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-4-15 調節池の小径
2015.4.15 【富士(153)】
今週の山中湖行は、14日から今日(16日)まで山中湖村で過ごした。14日は山中湖では曇りのち雨、メインの15日は朝、6時の天気予報では昼頃から雷雨や突風の大荒れになるようだが、朝は快晴だったので急ぎ調節池に出かけた。セットする頃には天気の悪化する兆しの雲の笠雲が出だし、上空は風が強いのか「乱れ笠雲」(正式の名前は後で検索します)が富士山頂にかかっている。前日のかなりの雨は山頂では雪だったらしく、黒く融けた峯筋が白く覆われて、春なのに珍しく澄んだ青空との組合わせが美しい。パレットに予(あらかじ)めだしていった絵具の空の色が、実際よりも緑がかってしまったので、これから完成までにバジターブルーで直す必要がある。イーゼル画はあくまで、対象と裸眼に殉じる姿勢をとらなければ、一筆ごとに正否の迷いと逡巡の袋小路に落ち込んで画面が堂々巡りで進んでいかない。こんなこともイーゼル画で気付いたことだ。
描き終える頃には、アヤシ気な風が吹きだし、富士も雲に隠れ昼過ぎからは予報通り大荒れの天気になった。
今日の、帰りの一の橋のバス停の御殿場行きの時間が変わっていた。少し早くなって、おかげで1時間待っていた御殿場線の国府津行きの電車の、1本前に間に合って、帰柏のルーティンが変わった。いつも御殿場では、駅蕎麦(ここの駅蕎麦は天麩羅を注文してから揚げるので美味しい)で朝食を食べ、駅前の喫煙所でタバコを吸い、駅のコンビニで入れたてカップコーヒーを駅内のベンチで飲んで時間を過すのだが、これが出来ず、朝食とタバコをどうするかという問題が新たに持ち上がった。色んな選択肢を考えたのだが、御殿場線と小田急線の乗り換えで降りる、冬の間建て替えで閉まっていた小田急の新松田駅横にある「箱根蕎麦」の建物が新装開店していて、おまけにカンビールもあったので、コロッケでカンビールを飲み、掻き揚げ蕎麦(朝蕎麦と迷ったが)を食べて、今度からはこれで決まりだ。
いつもは、私一人で乗る一の橋のバス停も今朝は、御殿場に通う新入生らしい女子高生も乗ってきて、すべてが去年の春と違っている。今年の花や虫は、去年の花や虫と同じようにみえても個体が違うのだ。世界は道元の言う通り、今、今、今、今と「現成公按」している。
山ボウシ いつもの花も 今年(こぞ)の花 (岬石、2005年5月23日)
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富士(153)/F10号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-4-23 交流プラザきらら
2015.4.23 【富士(154)、富士(155)】
今週の山中湖行は、21日から今日(23日)まで山中湖村で過ごした。22日、23日(今日)共に天気がよく、両日とも朝、平野の『山中湖交流プラザきらら』の周りでイーゼルを立てた。ここは、何度かイーゼルを立てた平野浜のすぐ横にあって、園内は広くてよく整備され水場もトイレもベンチも揃っているので、お花見には最適だろう。
今回、ここに来たのは、今年の山中湖村のカレンダーの写真に載っていた、ズミの木と富士山のポイントの確認(白い花盛りのズミの木と富士山を描いてみたい)と、山中湖ではちょうど満開ま近い桜の入った富士山の、ロケハンを兼ねての行動だ。22日の「富士(154)」は園の外の花盛りの白いコブシの花の枝の入った富士山、23日の「富士(155)」は園内の木道の横の桜と富士山 、どちらもやや強引に画にしたきらいはあるが、なんとか完成までもってゆきたい。
「富士(154)」の白いコブシの花を、ピンク色の桜に変えたい誘惑にかられるが、それをやったのではイーゼル画の因って立つ根底が崩れるのでジっと我慢しました。だって、昔の人も言ったじゃないですか、「嘘つきは泥棒のはじまり」と、「天知る、地知る、己(おのれ)知る」と。
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富士(154)/F10号/油彩/2015年 |
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富士(155)/P10号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-4-30 平野
2015.4.30 【富士(156)、富士(157)】
今週の山中湖行は、28日から今日(30日)まで山中湖村で過ごした。28日は春の薄曇りの天気ながら富士が見えていたので、午後3時頃から平野浜のいつもの場所でイーゼルを立てた。午後の光る湖と富士を予想していたのだが、春霞みが遠景の空一面にかかり、夢幻的な光の中に山が包まれている。P8号のキャンバスで、風景画にしては比較的狭い画角で描いていたので最初は気付かなかったが、途中で太陽に日暈がかかっているので、急いでデジカメで撮っておいた。
前回(2014年5月15日)やはり同じ場所で、同じような高曇りの空に日暈がかかっていたのを見たので(富士【103】)、ここのポイントは条件の組合わせが揃っているということが分る。まず、全天を見渡せる場所であること、太陽や月を視界に入れることは普段めったにないこと、部分的なアークでは気付かないこと、天候などと全てが揃うこと。そして肝心なのは、そのことを認識する人がその場の対面(トイメン、麻雀用語)に立ち遇わなければ、折角の天の配慮も何事もなく過ぎてしまうことだろう。
今回の日暈の円周は前回見たときよりも大きく(たぶん、見る人と、その時出ていた雲の距離の違いだろう)、虹色も前回よりは認識(内側がピンクで外側がブルー)でき、今回は描かなかったが、アトリエ画で描く機会があるだろう。
「富士(157)」は、先週の「富士(154)」の山頂から右側の山裾をもう少し入れた構図を描きたかったので、コブシの花がまだ咲いている間(あいだ)にと、29日の朝P15号のキャンバスでイーゼルを立てた。
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富士(156)/P8号/油彩/2015年 |
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富士(157)/P15号/油彩/2015年 |
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◼️山中湖村2015-5-07 調節池
2015.5.07 【富士(158)】
今週の山中湖行は、5日から今日(7日)まで山中湖村で過ごした。6日は朝から快晴、湖畔の平野は連休中なので人出が多く落ち着かないのを予想して、いつもの調節池でイーゼルを立てた。目の前の有料道路の交通量はさすがに多く、また、バイクツーリングの集団が何組も通り過ぎる音が聞こえる。いずれにせよ、身の周りが明るく活動的なのは喜ばしい。
雲ひとつない富士を描き始める。新緑の林の上にそびえる富士山は美しいが、冠雪が融け、稜線が黒く出ているのが悩ましい(つまり白い部分を周りから描き残す作業をするので、コツがいる)が、歴戦の勇士はすでに多くの戦歴を積んでいる。
こういう場合は、ジレて描画を端折らないこと。丹念に淡々と、1つの視線を1つのタッチで画面に置いていけば、いつのまにか、キャンバス上は埋まってしまう。ヴァルールやデッサンの間違いや狂いは、後でアトリエで微調整して、完成までもっていけばいいのだ。
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富士(158)/P10号/油彩/2015年 |
◼️山中湖村2015-5-14 山中湖交流プラザ・喫茶店ソレイユ
2015.5.14 【富士(159)、富士(160)、富士(161)】
今週の山中湖行は、12日から今日(14日)まで山中湖村で過ごした。メインの13日は、台風一過の快晴、おまけに前夜の激しい雨は植物にとっては干天の慈雨で、新緑が洗われ、まさに風薫る五月だ。
朝、山中湖交流プラザ「きらら」内にあるズミの木の花の様子の下見がてら、先々週の帰りに見付けていた湖畔のポイントで、M10号のキャンバスでイーゼルを立てた。
描き終えて、アトリエに帰る途中、喫茶店『ソレイユ』に立ち寄ると、前の木を、富士山が見えるように切って貰ったとのこと。調節池で描く予定を変更して、午后から店のベランダで描かせてもらった。画角が狭いビューなので、小品でしか絵にならない。しかし、かえって小品の風景画にはピッタリかもしれない。2点目は少しズームアップしてF5号のキャンバス2点に手を付けた。
この日描いた全点、空のブルーと、新緑のグリーンが印象的だった。
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富士(159)/M10号/油彩/2015年 |
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富士(160)/F5号/油彩/2015年
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富士(161)/F5号/油彩/2015年 |
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