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(55)面白かった微積分

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(55)面白かった微積分(197頁)

だから僕は、微分積分も自分で勉強して、それであっと言う間に数学が好きになった。物理学は中3の時に玉の秀文堂で買った、ガモフの『1、2、3、・・・無限大』と『不思議の国のトムキンス』を読んで面白さに目覚めていたけれど、数学の面白さに目覚めたのは『微分積分早わかり』(秋山武太郎・著)という本を読んでからだ。湯川秀樹も少年時代愛読したという本で、何冊かシリーズで『代数入門』、『幾何入門』などがある。

僕は偶然、高二の時に学校の図書館でその本を見て内容そのものの面白さに引き込まれた。受験のためとか授業の副読本ではなく、微分積分はもう少し先に習うのだけれど、読みだしたら、のめり込むほど面白い。読むのに、中学生程度の数学の知識があれば理解できる。専門的な数学の知識や特別な数学的能力がなくても、小説を読むように読んでいると、全部わかる。考え方から入るから、『代数入門』も『幾何入門』も、とても面白かった。数学というものは、昔は無かった。人類の分明の発達につれて、誰かが考えて、少しづつ発展してきた。その、最初の「考え方」から解説してくれるから面白い。昔から理数系は好きだったのだけれど、それで一遍に好きになった。そのためか、まだ芸大受験を決めていなかった高二の一学期の期末試験では、数学はクラスで一番の点数をとってしまって驚き、かつ自分の勉強法に自信を持った。

微分積分はどういう事に応用するかというと、設問も面白い。たとえば、缶詰工場で缶詰を作るのに、同じ鉄板の量で、最も容積が大きい円柱形、つまり最も量が入ってかつ最も鉄を使わないで済む円柱形にしたい。細長い形とか、平べったい形とか、どういう形がいいか。微分積分の練習問題にそういう問題がある。答えは、円の直系と円柱の高さが同じ長さの円柱、つまり横から見たら正方形の円柱。

円の面積はパイアール2乗で求められるが、何故?という問題。

円を四本の直径で等分すると、八個の扇形ができる。その扇形を互い違いに組み合わせると、一辺が半径でもう一辺が円周の二分の一の平行四辺形に近い形になる。直径を四本からどんどん数を増やしてして行くと出来る扇形は限り無く線に近くなっていく。扇形を無限に分割していった極限を半径の長さの線だとすると。円の面積は、1辺が半径でもう一辺が円周の半分の長方形の面積と同じである。だからパイアール2乗。これと同じよう、球を直方体に直してその体積を求めれば3分の4パイアール3乗が求められるはずだ。これが微分の考え方だ。限りなく小さくしておいて、集める。だから微分を使えば、不定形な面積なども求める事ができる。

『微分積分早わかり』では、こういう考え方を説明している。つまり、考え方そのものを、微分積分とはどういう事をやっているかという事を説明していくわけだ。だから、計算の技術とか数式の暗記といったような事ではないんだ。考え方の根本が分る。おおげさにいえば、世界存在のイデアにアプローチする方法、考え方、スキル(技術)が分る。

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