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『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

『象が空を』沢木耕太郎より

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■あるいは、私たちが日常的に行なっている「ノンフィクションを書く」という行為も、本来は極めて古臭くフィクショナルなものとして印象されるストーリーを、いくつかの固有名詞、いくつかの数値で、危うくリアリティーを繋ぎ留めつつ述べていこうとする、虚実の上の綱渡りのような行為なのかもしれないという気がしてきた。そういえば、ノンフィクションとフィクションの世界を往き来したことのあるガルシア・マルケスにこんな台詞があった。

「たとえば、象が空を飛んでいるといっても、ひとは信じてくれないだろう。しかし、四千二百五十七頭の象が空を飛んでいるといえば、信じてもらえるかもしれない」

確かに、ただの象は空を飛ばないが、四千二百五十七頭の象は空を飛ぶかもしれないのだ。(276㌻)

■手紙には貧乏旅行者の喜怒哀楽は記されていても、行程や費用などについての細かいことは省略されています。ところが、いざ書く段になると、そうした細部こそが重要なものになってきます。その細部が何冊かのノートに残されていたのです。それは一種の金銭出納帳でした。(301㌻)

『象が空を』沢木耕太郎より 2006年7月2日

-『仏陀』増谷文雄 著 角川選書ー18

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